ツアープレーヤーは、食事を日々欠かさず摂るように心掛けています。
その理由として、次のような大きな目的があります。
◆ からだを動かすエネルギー源を蓄える
◆ からだを作る(筋肉の肥大と骨格の強化)
◆ 体調を整える(コンディションの維持、疲労回復)
そしてこれ以外にも、ツアープレーヤーには重要な目的があります。
それは、ストレスの解消です。ツアープレーヤーにとってストレスは、競技中襲い迫ってくる最大の敵ですが、それを軽減してくれるのが食事です。
食事を摂ってからだと心を癒すのが、最大の目的なのです。
そこでまずは、食事の栄養とはたらきについて簡単にご説明します。
食事の中に含まれている栄養素は、タンパク質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)があり、これが三大栄養素と呼ばれています。
日常生活においては、この三大栄養素(PFC)のバランスが最も重要で、日本人の食生活は、タンパク質約15%、脂質約25%、炭水化物約60%と太りにくく、生活習慣病を予防するのに最も適していると言われています。
この三大栄養素にビタミン(Vitamin)とミネラル(Mineral)を加えたものが、五大栄養素になります。
それでは次に、食事を摂る目的に対して、どのような栄養素が必要なのかをご紹介しましょう。
【目的と必要な栄養素】
1) |
からだを動かすエネルギー源 脂質と糖質(炭水化物)を摂りましょう。またタンパク質も必要です。 |
2) |
からだを作る(筋肉の肥大と骨格の強化) タンパク質とミネラルを摂ることをお勧めします。パワーの源です。 |
3) |
体調を整える(コンディションの維持、疲労回復) ビタミン(13種類)とミネラル(12成分)を必要に応じて摂りましょう。 |
4) |
ストレスを和らげる コンディション維持に必要なビタミンの中のでも、ストレスを和らげてくれるビタミンB1(チアミン)を積極的に摂りましょう。 しかし栄養素だけに頼ることなく、談笑しながら楽しく食事を摂ることがストレス解消につながります。 |
栄養素の特徴 |
タンパク質 |
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動物性タンパク質は、肉、魚介類、卵、乳製品などに多く含まれている |
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植物性タンパク質は、穀物、豆類などに多く含まれている |
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皮膚、骨、血液、筋肉、髪の毛を構成する成分となる |
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神経伝達物質、ペプチドホルモンなども作られる |
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約20種類のアミノ酸から作られているが、この内9種類は人間の体内で作ることができないため、食品から摂取する必要がある(必須アミノ酸) | |
脂 質 |
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脂質は1gあたり9kcal のエネルギーを含んでいるため、少量で効果的にエネルギーを供給できる |
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飽和脂肪酸は肉類、乳製品、チョコレートなどに多く含まれ、摂りすぎると血液中にコレステロールが増えすぎて、動脈硬化や脳卒中、心筋梗塞などの疾患を招きやすくなる |
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不飽和脂肪酸は、植物性油脂や魚の脂に多く含まれており、血液中のコレステロールを減らす働きがある | |
糖 質 |
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単糖類(ブドウ糖、果糖など)、二糖類(ショ糖、麦芽糖、乳糖など)、多糖類(でんぷん、グリコーゲンなど)の3種類に分かれる |
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ブドウ糖は、脳、神経系、赤血球、筋肉などの唯一のエネルギーとなる |
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バナナ、イモ類、かぼちゃなどに多く含まれている糖質(炭水化物)は1gあたり4kcalのエネルギーを含む | |
ビタミン |
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水溶性ビタミン(9種類)と脂溶性ビタミン(4種類)がある |
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水溶性ビタミンは、B群(B1、B2、B12など)とC(アスコルビン酸)があり、一定の時間で尿と一緒に体外に排出されるため、毎日摂取する必要がある |
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脂溶性ビタミンは、A、D、E、Kで、体脂肪や血液中の脂肪に貯蔵されるため、毎日摂取する必要はない | |
ミネラル |
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日本ではカリウム、亜鉛、カルシウム、クロム、セレン、鉄、銅、ナトリウム、マグネシウム、マンガン、ヨウ素、リンの12成分がミネラルと言われている |
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ミネラルは、体内で構成する成分として約4%含まれ、骨や歯、血液を構成する成分として必要 | |
さて、このような栄養をゴルファーはどのくらい摂ったら良いと思いますか?
その内容は、ゴルフの運動量によっても変わってきます。
ゴルフスイング1回の運動時間は、30秒以下になります。
そのためハイパワー(筋力・瞬発力)系の運動となるため、パワーの源であるタンパク質やミネラルを摂る食事が必要になります。
しかしカートを使わず歩いてラウンドする人は、ローパワー(持久力)系の運動がプラスされますので、脂質と糖質(炭水化物)を摂る食事も必要になります。
皆さんには、どのような食事が必要と思いますか?
私たちアスレティックトレーナーがツアープレーヤーに、具体的にどのようなアドバイスをおくって食事を勧めているかは、次回お話したいと思います。